hitomi's poetry
想い出綴り-54 PLの花火

cici
 8月1日、今年もまた瞳の命日が巡り来た。
 この日が来る度に思い起こされる一つにPLの花火大会がある。
 瞳が免許を取って1年ぐらい経った8月1日、店の準備をしている時に瞳から電話が
あった。
 「PLの花火大会に行く途中で車をぶつけた。どないかして」
 瞳の緊迫した声を聞くと今すぐにでも飛んで行ってやりたいと思ったが、PL花火大
会の大渋滞を考えれると辿り着くまでにかなりの時間がかかり到底無理だ。
 「瞳、1人か?」
 「K子ちゃんと一緒やけど…」
 「K子ちゃんか。それで相手はどんな感じや?」
 「40歳前後の男の人」
 「そこの場所はどの辺や?」
 「309号線で菅生(スゴウ)というとこらへん」
 「菅生か。今日はかなり混んでるし遠いなあ。それで事故はどんな状況や?」
 「車が混雑してて、一寸進んでは止まるという状況で、コツンと当たっただけ」
 「今はそこまで行かれへんから、相手の連絡先を聞いて、『後日、お父さんと話をし
に行きます』と言う様に」とアドバイス。
 「うん、分かった」
 その後、瞳に事故の事を聞いたが、相手は「もう、エエわ」と連絡先を教えてくれな
かったとか。
 私の経験では、あの状況はバンパー同士の接触で凹むことは無い。きっと子娘だ
からお金にしようと因縁をつけたに違いない。
 私はPLの花火を直(ジカ)では見てないが、堺の高層マンションの上から何度か見た
事がある。
 漆黒の闇に小さな花を開かせた後、しばらくして「ドンドン」と音が時間差で聞こえた。
迫力はないがキレイな花々が夜空を彩っていた。
 PLの花火大会は関西一の花火大会として有名で、毎年、演出や構成が変えられて
“芸術”と呼ぶにふさわしく、12万発も打ち上げられた昔は世界一と言われていた。
 特にラスト1分間の約8000発の花火は、辺り一面が昼間の様に明るくなり、閃光と
地響きが南大阪一帯に広がりまさに圧巻だと聞く。
 余談だが、地元の人の話では会場から半径5〜6キロ圏内にある全ての車は警報器
が鳴り出すとか。その凄さに感心したものだ。
 今頃瞳は、19年前と違った場所から、迫力のある光の芸術、PLの花火を見ている事
だろう。


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