hitomi's poetry
想い出綴り−63 初節句

cici
 三寒四温に春の息吹が感じられる様になり、寒さに苦手な私にとって待ちわびていた3月が到来。
 明後日は桃の節句。女の子が元気で幸せに育つのを願ってお祝いをするひな祭り。
 「♪あかりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花〜」
 毎年この頃になるとスーパーや街なかで耳にしたり、幼稚園や小学校で頻繁に歌われる定番の曲だ。
 そのメロディーが脳裏を支配して娘と会いたくなり、押し入れから古いアルバムをひっぱり出した。
 明るい光が差し込む8畳の和室にデンと陣取った、凛々しい顔が並んだひな人形の七段飾り。
 そのひな壇の前に綺麗なべべを着てちょこんと座り、あどけない顔の瞳が写真に収まっている。
 何事も無く元気にスクスク育った娘を、ワクワクした気分でカメラのシャッターを押した。
 生後5ヶ月を迎えた瞳の初節句、大阪市内で一人で暮らすおばあちゃんも呼び寄せて祝った。
 テーブルには妻が腕によりをかけて作ったチラシ寿司、尾頭付きの鯛、筑前煮、蛤のお吸い物。
 デザートに桜餅などを食べながら談笑し、私は雛あられをアテに白酒でなく熱燗をチビリチビリと傾けた。
 「♪春のやよいの このよき日 なによりうれしい ひな祭り〜」
 大人たちは一緒に唄いほのぼのとした気分に浸ったが、乳飲み子にとってはなんのこっちゃという感じ。
 これから続く瞳の将来は、私たち夫婦にとっての未来。
 色々な事を吸収して、周りの人々に愛される優しい女の子に成長して欲しいと願った。




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