●ABC『しあわせな結婚』
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主人公は、世間から注目される事件の弁護で数々の無罪判決を勝ち取る人気弁護士・原田幸太郎(阿部サダヲ)。並行してワイドショーやクイズ番組にも出演し、多忙ながらも華やかな日々を送っていたが、50年間「結婚はしない」と宣言してきた独身主義者でもあった。ある日、討論番組中に体調を崩して倒れてしまう。入院先で孤独を感じた幸太郎は、見舞い人も見舞いの言葉もなく、自らが孤立していることを痛感する。そして、ふとエレベーターで出会った女性・鈴木ネルラ(松たか子)に声をかけ、彼女は何の前触れもなく紙袋を渡して立ち去る。幸太郎の心に彼女が強く残り、退院日に玄関を出ると、そこにはネルラが立っていた。「うち行きませんか?」という彼女の誘いに動揺しながらも、幸太郎は運命を感じて結婚を決意する。こうして電撃的な結婚生活が始まる。 ネルラは、父・寛、弟・レオ、叔父・考と同じマンションで暮らし、家族との団らんも大切にする。最初はその温かさに戸惑いながらも、幸太郎は次第にその暮らしに馴染んでいく。しかし、幸せそうな結婚生活の裏には、ネルラが抱える“15年前のある事件”に関する重大な秘密があった。元婚約者・布勢夕人の転落死事件、叔父・考の関与、兄弟の関係、捜査の混乱──物語は、夫婦としての信頼と疑念、真実の探求と家族の葛藤を軸に展開していく。幸太郎は妻を信じられるか、また妻の秘密を知っても愛し続けられるか。結末に向けて、さまざまな謎と感情の交錯が明らかになっていく。 「しあわせな結婚」は、表面的には穏やかなホームドラマの体裁をとりながら、内側では夫婦愛とサスペンスのパワフルな対比を描こうとする意欲作だ。まず、阿部サダヲと松たか子というベテラン俳優の共演というだけで見る価値がある。二人の会話の間や視線のやり取りには、説得力と重みがあり、急展開にも説得力を持たせている。 特に好印象なのは、ネルラというキャラクターの造形だ。ミステリアスでありながらどこか人間味を秘めた女性として、過去と現在のギャップを抱えながら生きるその姿が引きつけられる。彼女の行動の動機や秘密が少しずつ明らかになっていく過程で、「彼女を信じたい」という幸太郎の葛藤との交錯がドラマに緊張感を与えている。 一方、展開の急さや伏線の回収のバランスには賛否があるかもしれない。一つひとつの秘密が次から次へと明かされていくため、視聴者がついていけないと感じる場面や、強引と感じる“転”も存在する。また、ミステリー要素と家族ドラマ要素とが混ざる構成ゆえに、どちらかがやや薄く感じられる瞬間もあった。しかしそれを差し引いても、ドラマとして“愛とは何か、信じるとは何か”を問いかける骨太なテーマ性は印象深い。 視聴者の反響を調べると、「夫婦役の化学反応が良い」「謎が深くて先が見えない」「結末に満足がいかない」「家族との会話シーンがリアル」といった意見が並んでおり、多くが物語の緊張感と人間ドラマの融合を楽しんでいるようだ。 総じて言えば、「しあわせな結婚」は、“夫婦”という日常を舞台に、過去の影、秘密、信頼というテーマを絡めたサスペンス・ドラマとして、観る者に強い余韻を残す作品だ。エンターテインメント性と感情の揺れの両方を持ちつつ、ラストに向けてどう着地するのか、その過程を見守る手応えは十分ある。 ■主な出演者の似顔絵集⇒http://www.ainet21.com/nigaoe.htm #ドラマ鑑賞 #エンタメ #しあわせな結婚 阿部サダヲ #松たか子 #板垣李光人 #チャレン爺有 #スナックタイガース #堺でおもしろい店・人 #有村正 |