●NHK『豊臣兄弟』


 ドラマ「豊臣兄弟!」は、天下人・豊臣秀吉(池松壮亮)ではなく、後の豊臣秀長になる弟・木下小一郎(仲野太賀)を主人公にした物語。
 小一郎は尾張中村で貧しいながらも農民の暮らしに満足しつつ平穏な日々を過ごしていた。そこへ長く消息不明だった兄・木下藤吉郎(豊臣秀吉)が現れて、若き 織田信長 に仕え、大出世を夢見ていた。
 そんな兄の強引な誘いに巻き込まれる形で小一郎は武士となり、その後の「桶狭間の戦い」での信長の奇跡の大勝利に、武士として生きていく覚悟を決めた小一郎だが、それはピンチと苦労の連続の始まりだった。
 物語は、天下統一を目指す信長のもと、兄・秀吉が次々と出世していく一方で、その陰で兄を支え続けた秀長の視点から描かれます。知恵と調整力に優れた秀長は、戦場だけでなく人間関係や政治面でも兄を支え、数々の危機を乗り越えていく。
 やがて兄弟は、美濃攻略、播磨攻略など織田家の重要な戦いに関わりながら勢力を拡大し、信長亡き後は天下統一への道を進む。
 『もし秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった』と後世に語られる名補佐役・秀長の生涯を軸に、戦国乱世を舞台にした熱い兄弟が夢と希望を胸に突っ走る、兄弟の絆と奇跡の下剋上サクセスストーリーである。
 この物語の魅力は、歴史上の出来事を追うだけでなく、一人ひとりの人物像が丁寧に描かれている点にある。そのため登場人物に自然と感情移入でき、兄弟の絆や成長を見守りながら物語に引き込まれていく。
 特に秀吉と秀長の兄弟関係が魅力的で、野心家の兄と、それを支える聡明な弟という対比が見事です。これまで秀長について詳しく知らなかった視聴者でも、その人柄や存在感に惹かれ、「豊臣家を支えた名補佐役」と呼ばれる理由に納得できる。配役も非常に良く、俳優陣の確かな演技力が作品に厚みを与えている。
 また、明智光秀や徳川家康といった歴史上の人物も従来のイメージにひと工夫加えられており、新たな解釈として興味深く見ることができた。中でも小栗旬演じる織田信長は圧巻で、冷酷さや恐ろしさを感じさせながらも、不思議なカリスマ性と格好良さを兼ね備えています。その存在感はまさに物語の軸を支える安定感がある。
 さらに本作は、人生の教訓を感じさせる場面や胸を打つ感動的なシーンがある一方で、随所にコミカルなやり取りも盛り込まれており、重くなり過ぎない絶妙なバランスが魅力。笑いあり、涙あり、そして心温まる兄弟愛あり。歴史ファンだけでなく、多くの視聴者が楽しめる見応え十分の作品だと感じた。

 ■主な出演者の似顔絵集⇒http://www.ainet21.com/nigaoe.htm
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