●テレビ東京『時すでにおスシ!?』


 主人公の待山みなと(永作博美)は、夫を事故で亡くして以来、女手ひとつで息子を育て上げてきた50歳の専業主婦。長年「息子のためだけ」に生きてきた彼女だったが、息子が独立して家を離れたことで、突然訪れた孤独と空虚感に戸惑う。そんなある日、友人から渡された「鮨アカデミー」のパンフレットをきっかけに、みなとは勢いで入学を決意した。
 職人を3カ月で育成するアカデミーには、リタイア後の新たな生きがいを求める男性、キャリアチェンジを目指す女性、寡黙ながら強い意志を秘めた青年など、さまざまな事情を抱えた仲間たちが集まっていた。
 さらに、厳格で妥協を許さない堅物講師・大江戸海弥(松山ケンイチ)の指導のもと、みなとは何度も壁にぶつかりながらも鮨作りの技術と精神を学んでいく。
 授業や実習を通じて仲間たちとの絆を深め、それぞれが自分の過去や将来と向き合う中で、みなともまた「誰かのため」ではなく「自分のため」に生きる喜びを見つけていく。
 この作品は鮨作りを通じて人生を握り直していく人々の挑戦と成長を、笑いと感動を交えて描いたヒューマンドラマ。 
 鮨アカデミーという一見珍しい題材ながら、主人公みなとの成長を軸に、「これからの人生をどう生きるか」という普遍的なテーマが丁寧に描かれており、毎回ほっこりとした気持ちで楽しめた。
 特に寿司アカデミーの個性豊かな仲間たちや、スーパーの同僚やスナックの友人たちも含めて、登場人物全員が良い味を出していた。厳しくも温かい大江戸先生の存在も作品を引き締めていたと思う。
 また、このドラマには悪意のある人物がほとんど登場せず、安心して見られるのも魅力的。大きな事件や過激な展開に頼らず、人と人とのつながりや成長を描くことで、じんわりとした感動を届けてくれた。
 新幹線のシーンでは渚の成長した姿に胸が熱くなりホロリとさせられ、ラストの二人で新しい暖簾をかけるシーンは、二人のこれからの前向きな未来が感じられて心が和んだ。
 タイトルだけを見ると少し軽いコメディーかと思ったが、実際は人生の再出発を優しく描いた心温まるドラマだった。

 ■主な出演者の似顔絵集⇒http://www.ainet21.com/nigaoe.htm
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