hitomi's poetry-10
春よ来い 
(1) 愛しの我が君 去ってから 
2度目の桜の季節(トキ) やってくる
でも、一向に春は来ない 私には
あのほのぼのした温もり いまは無く
心に空いた大きな穴を 埋めるため
いろんな事にチャレンジを してみても
気持ちが乗らない 思うよに
どうすればトンネルから 抜け出せる?
君の写真を見ながら 問いかける

それは、ひたすら真直ぐに
自分を信頼し 歩むこと
厳しい冬を 乗り越えて
凛と立ち伸びてく 芽のように
あなたにもきっと 春が来る
私に教えてくれた 君は然う(ソウ)

(2)

悲しい涙の 別れから 
2度目の若葉の匂い 過ぎ去った
また悠(のど)かな春はなかった 私には
あのやわらかい陽射しは いま何処(イズコ)
心に宿る 切ないしこり 除くため
多くの人とお話を 交わしても
気分が晴れない どうしても
どうすれば深淵(シンエン)から 這い上がれる?
君の面影抱きながら 問いただす

それは、一途に一筋に
愛する人のため 歌うこと
厳しい冬を 乗り越えて
凛と立ち伸びてく 芽のように
あなたにもきっと 春が来る
私に教えてくれた 君は然う

※然う=そのように。
※深淵=深いふち。奥深く、底知れないこと。

サクラ

(1)

川辺に続く 遊歩道 
敷きつめた石 踏みしめて
君と歩いた 跡たどれば
遠い過去が 巡り来る
薄桃色の 君の頬
ほのかに微笑む 春の朝
独り立ちすると 家を出た

薄桃色の 花びらが 
はらりはらはら 肩に舞い
締め付ける胸 慰める

(2)

川面に映る 憂(ウレ)い顔
小石落とすと ゆがんでく
君と暮らした 日々たどれば
懐かしさで 涙ぐむ 
薄紅色の ルージュひき
希望に満ちた 春の朝
夢を追いかけ 都会(マチ)に出た 

薄桃色の 花びらが 
はらりはらはら 風に舞い
どこか遠くへ 飛んでいく


薄桃色の 花びらが 
枝から離れて いくように  
親から離れて 子は巣立つ