第一話 神様の夜ばい

 むかし、ある村長むらおさの家に、かわいげな一人娘がいたそうな。
年頃なので、似合いの婿殿むこどのをもろうたが、婚礼の夜に死んで
しもうた。それから何度も新しい婿殿を迎えたが、なぜか、初夜の床
で死んでしもうた。
 あの娘は、顔に似合わず魔性もんだと云う悪いうわさが立つと、も
う婿に来るものはおらなんだ。
 ある日、旅の男が、村長の家に一夜を願って寄った時、村長から
娘の不幸を聞き、「そら気の毒なことや。わしが婿になってしんぜよ
う」。
 村長も娘も喜んで、さっそく婚礼の式をあげることになった。男は前
の婿殿が、みな男の一物を食いちぎられて死んだことを聞いていた
ので、村の氏神に「金精神こんせいじんさま」という鉄で出来た男根が祭
ってあるのを思い出し、初夜の床の下にかくしておいた。
式がすみ、いよいよ床入りすることになったが、娘はうかぬ顔であっ
た。
 「なに、少しも心配はいらん。嫁御は存分にわしに抱かれればえ
え」というて男は、娘の口を吸いながら胸元を広げると、白桃のよう
な豊かな乳房がでてきた。今度は乳房を吸いながら腰巻きをめくり
女陰ほとを撫でると、ピクン、ピクンと腰が動き始め、尻を高く上げて
「アハーアハー」とすすり泣くような声が漏れ出した。
男はここぞとばかりに金精神さまの御神体を嫁御の女陰に「グイッ」
と差し入れた。「ガリーッ!」と歯の折れる音がした。男は「よしよし、
うまくいったわい」。それから御神体を入れたり出したりこね回した
り、すると歯が全部取れてしもうた。 それから二人は仲むつまじく
一夜を明かしたということじゃ。
 おさまらないのが金精神さま、「ええ気持ちやった、ええ味じゃっ
た」と、あの時の味が忘れられずに、夜な夜な村の美しい娘のとこ
ろへ夜ばいに行くようになり、村じゅう大騒ぎになったそうな。
         

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