hitomi's poetry

想い出綴り−37 遠足
cici
 瞳が保育園時代に6月の親子遠足に同行した事があった。仕事人間の私は滅多に娘と接する事が出来ないので、
妻が気を利かして私に行かせた。
 「はよ寝ーや、明日起きられへんで」
 私が遠足の前夜に眠れなかった子供の頃のように、瞳もいつまでも布団の中でゴソゴソしていた。
 朝、窓の外を見ると遠足日和の晴天、瞳は颯爽と体操服に着替えて弁当に水筒、リュックサック…忘れ物が無いか
を何度もチェックした。
 そして保育所に集合、大型の観光バスに揺られて目的地に向かった。瞳は心をワクワクさせて移り変わる窓の外の
景色を眺めていた。
 着いた所は今は廃業してなくなったが、その当時は日本において先進的な遊園地で開園2年目の神戸ポートピアラ
 ンドだった。
 アトラクションはいくつか乗ったが、覚えているのはもう一組の親子と4人で乗った観覧車だ。ガラスの箱が空中高く
昇ると瞳は下や遠くの景色を見ながらはしゃいでいた。
 私の方を振り向いて「たのしいね!」と言った時の、あの満面の笑みは今でも忘れられない。
 青空の下で青々と茂った草の上にシートを敷いて座り、妻が作ってくれた愛情たっぷりのお弁当をピーチクパーチク
と喋りながら頂いた。
 父子水入らずで食べた弁当は実に美味かった。そこには慈愛が満ちていて、ほのぼのとした空気が二人を包んで
いた。
作文・TOPへ戻る





















●back

●composition-top

●top-page

●next

MYホームページ 愛netコミュニティ