hitomi's poetry
想い出綴り-40 正月旅行
cici
お正月といえば、瞳が幼少の頃から中学二年生まで毎年正月に旅行をした。
店をしていたのでサラリーマンの様には長くは休めず毎回2泊3日。
旅行は年老いた母親も一緒で電車の乗り換えが大変なのでいつも車。だから
ほとんど近畿圏内でそんなに遠くへは行かなかった。
それでも旅はいいもので時間を忘れてゆったりと温泉に浸かり一年間の疲れを
癒やす。湯上りの後は家族で御膳を囲んで豪華な料理に舌鼓。ゆっくりと新年
を味わいながら英気を養った。
遊園地では瞳と私がジェットコースターに乗り恐怖体験を共有、高所恐怖症の
妻と高齢のおばあちゃんは下から“高みの見物?”だ。
イルカショーは水しぶき覚悟で前列に座ったので迫力満点、見ごたえは十分で
瞳も大喜びをしていた。
淡路島の“おのころ愛ランド”では世界の代表的な建造物のミニチュアワールド
ではガリバーになって世界旅行をした気分になった。
福井県の日本海を臨むホテルに泊まった時、近くの海で若者たちが冬の荒波
の中でサーフィンをしていた。
見ているだけでも寒くて、サーフィンはしたくないと言っていた瞳が、社会人にな
ってから2枚のサーフボードやボディボードも持つようになっていた。
夜のヒマな時間にホテルにある卓球台でしばしばピンポンをした。その影響かど
うか、瞳は中学の時は卓球部に入った。
正月旅行は瞳の心にも楽しい思い出として残っていたに違いない。

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想い出綴り-41 プルーン
cici
 毎週日曜日はスーパーへ買い物に行く。妻は家の食材、私は店の食材を買うので
別々に店内を回る。
 食品コーナーでプルーンを目にした時には一瞬、釘付けになり遠い過去が呼び戻さ
れる。
 独り住まいをしていた瞳が我が家に帰って来た時に、何回か一緒にスーパーに買い
物に行った事があった。
 私が「好きなん買いや」と言うと、瞳はプルーンを数袋を買い物カゴに放り込んだ。
 「そんなぎょうさん買(コ)うて、どないするねん。もっと色々な栄養を摂らんなアカンで」
 「プルーンはダイエットにエエねん」
 「瞳はダイエットせんでも細いやん」
 「もうちょっと、痩せたいねん」
 「ダイエットするにしても栄養のバランスを考えんなアカンで」
 「プルーンは鉄分の吸収を促進するし、ミネラルとビタミンもバランスよく含んでるで」
 親は独り住まいの娘の食生活が気になるものだが、瞳が亡くなって部屋を片付けた
時に冷蔵庫には野菜類と多数のほうれん草の冷凍、ストッカーには多数のコンニャク・
ラーメン、春雨スープが目に付いた。カロリーは低いものの栄養のバランスがとれたも
のばかりだった。
 あんなに健康に気を使っていた娘が、どうして私より早く逝ってしまったのか…
 思い出すと胸が痛む。






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