hitomi's poem

hitomiの詩 part75 26歳



あとひと月、もう少しで君は
26歳の誕生日だったのに
それを待たずに、泉下の人となる
あの日は、お日様がいつもよりまぶしく輝く
真夏の午前、昼少し前だった
20代後半の入り口、これからという時に
人生の幕を閉じる事になり、さぞ無念だったろう

生前、東京へ行きダンスを極めたいと言ってたが
「生き馬の目を抜く大都会で、若い娘の独り暮らしは危ない」
私はそう言って、君の東京願望を引き留めた
「目の届かないところで、娘が離れて暮らすのが寂しい」
実のところ、その思いが心の奥の大半を占めていた

25歳11カ月、成人してからある程度の歳月を経て
自立して十分に大人なのに、いつまでも子供扱いしていた
「あれアカン、これアカン」
父と娘の少ない会話の中で、なぜか禁止句が目立った
君の話にしっかりと耳を傾け、対話をすべきだった
もう少し大人として、接していくべきだった

私は仕事優先で、あまり構ってやれなかったのに
父親として、大した役目も果たしてないのに
大人の都合で離婚をして、寂しい思いさせたのに
全てを振りきって羽ばたこうとする、若い娘の夢を摘んでしまった

今こうして、仏前で君と向かい合った時
26歳になる前の、あの時のままの君が甦り
寂しげな視線が、私の胸に突き刺さる様で
君への接し方のまずさを、いつも悔いてやまない








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